この子は どっちさん と呼ばれています
正式には おたくどちらさん といいます
もともと近隣諸国に名をはせたボス猫でした
5年かそこら、ボス猫だったと思いますが、その間ほぼ敗北したことがないと思われます
顔と耳、肩回りは古傷だらけでズタズタですが、下半身はほとんど傷がありません おそらくボス猫の中でも最強クラスだと思います
さすがに年を取ってきたので、保護して隠居させました
とても強い猫ですが、乱暴者ではありません むしろ寛容とさえ言えます
どっち:なんで おまえ そんなとこに入ってる?
子猫:なんだかね 車にひかれちゃって オウカクマクってとこが破れちゃったそうなんだよ 息ができないんだよ
でも、この中はね なんだか楽なんだよ
どっち:そこ オレも入っていいのかな
子猫:だめだよ せまいもの だいたい、おじさんの顔は、なんでそんな、ボロ雑巾みたいなの?
耳なんて、くちゃくちゃで、まるで噛んで吐き出したガムみたいだね
どっち:いつのまにか こうなってたんだよ
子猫:おじさんの頭は、すごく肉が盛り上がってるんだね まるでおしりみたいだよ どうしてなの(注1)
どっち:いつのまにか こうなってたんだよ
子猫:おじさんの犬歯は、どうして4本とも折れてるの それじゃあ、ちくわも噛めないよ
どっち:いつのまにか こうなってたんだよ
子猫:ふーん
どっち:おまえ いつまで そうしているんだ?
子猫:これからシュジュツってのをするらしいよ、ぼく、どうなるんだろう
どっち:いつのまにか 終わってるよ
・・・さあ 手術を成功させなければいけないね
(注1)側頭筋のこと 噛む力が大きいと、尻の様な形状に発達する どっちさんのそれは、かなり大きい部類